向学心に気を付けて、という言い方もあるのかもしれません。

大学受験の時に一番気合が入って充実感を感じたのは英語学習でした。長文の英文を、辞書を引きながら和訳していくことが大好きでした。大学に入っても英語に対する向学心は続いていたと言えます。大学に入学してひと月ほど経ちました。大家さんが「電話ですよ」と、食事の終わった私に声をかけました。昭和52年です。かなり前の話ですが、鮮明に思い浮かべることができます。電話は女性からかかってきました。名前は「田方康子」さんでした。知らない女性でした。受話器を取って話をしました。美しい声でした。女性の声が胸に響きました。彼女は言いました。「おめでとうございます。英会話教材の会社でございますが、あなたが選ばれましてお電話を差し上げました」と言うのです。私はその瞬間わくわくしてきました。重ねて彼女は言いました。「○○ホテルのロビー横の白い丸テーブルでお待ちしています。詳しいお話はそこでさせていただきます」と。もう私は天にも昇る気持ちでした。指定された日の午前11時頃だったと思います。ホテルのフロント前を右手に歩いて行きました。窓際の白いテーブルの前に清楚な感じの女性が座っていました。何と美しいことか、学生ながら私は思いました。彼女は私を席に案内しました。話が始まりました。英会話教材の話でした。説明を聞き、質問し、何とこの話の結論は、私が総額40万円の英語教材を買う、と言うことだったのです。何の抵抗もありませんでした。しかしこの教材を使うことは一回もなかったのです。私はこの「田方康子」さんとまた会えるのだろうと思いましたが、そんなことはありませんでした。一回会って40万を私が払うなんてひどいと思いました。こういう気持ちになったのは後の後でした。「田方康子」この名前は一生忘れないでしょう。美しかった田方康子さん、あなたの美しさのおかげで私はその日を境に英語だけ単位が取れなくなったのです。

 

作成者: street22

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